N·m
01トルクは軸力ではない
実務で使う関係式は T = K × F × d。T は締付けトルク(N·m)、F は軸力(N)、d はねじの呼び径(m)、K はトルク係数です。
| トルクの行き先 | 割合 |
|---|
| 座面の摩擦に消える | 約 50% |
| ねじ面の摩擦に消える | 約 40% |
| 実際に軸力になる | 約 10% |
つまり摩擦条件が変われば、軸力も大きく変わります。| 表面状態 | K の範囲 |
|---|
| 未処理・乾燥 | 0.20 ~ 0.30 |
| 電気亜鉛めっき | 0.18 ~ 0.24 |
| ダクロ | 0.10 ~ 0.16 |
| 二硫化モリブデン潤滑 | 0.10 ~ 0.15 |
| 一般の機械油 | 0.15 ~ 0.20 |
同じボルトでも、油を塗るかどうかで軸力は倍ちがうことがあります。02より正確な締付け方法
| 方法 | 軸力のばらつき | コスト | 向く対象 |
|---|
| トルク法 | ±25 ~ 35% | 低い | 一般用途 |
| トルク+角度法 | ±10 ~ 15% | 中 | シリンダヘッド、重要締結部 |
| 降伏点制御法 | ±5 ~ 10% | 高 | 高価値の締結部 |
| 伸び量計測 | ±5% | 高 | 大径ボルト、フランジ |
| 油圧引張法 | ±5% | 非常に高い | 風車、圧力容器 |
角度法は低トルクで座面を密着させてから一定角度まわす方法で、摩擦のばらつきを回避できます。03なぜゆるむのか
- 横方向の振動。ユンカー試験が示すとおり、合わせ面が横にすべると、ボルトは数百サイクルでゆるみます。これが最大の要因です。
- へたり(陥没)。表面の凹凸がつぶれて把持長さが短くなり、軸力が落ちます。表面が粗く、重ね枚数が多いほど大きくなります。
- 応力緩和とクリープ。高温、あるいは樹脂やアルミのような材料が長時間の荷重で変形します。
- 熱膨張差。異材の組合せでは膨張係数が違うため、温度サイクルで軸力が変動します。
04ゆるみ止めは実際どこまで効くか
| 手段 | 原理 | 横振動下での効果 |
|---|
| ばね座金 | 弾性による補償 | ほぼ効かない。多くの規格から外された |
| 歯付き座金 | 表面に食い込む | 限定的。表面を傷める |
| ナイロンナット | プリベリングトルクを加える | 中程度。高温不可、再使用不可 |
| ねじ用接着剤 | すきまを埋めて硬化する | 良好。等級により分解可否を選べる |
| くさび形ロック座金 | くさび角がねじのリード角より大きい | 非常に良い。幾何形状でロックする |
| 軸力を上げる | 合わせ面をすべらせない | 最も本質的な対策 |
研究の結論は一致しています。まず軸力を出すこと。部品はあくまで保険です。05図面に書くべきこと
- ボルトの寸法と強度区分(8.8、10.9、12.9、A2-70 など)
- 締付けトルクと許容差
- 表面状態と潤滑条件(乾燥/油付き/どの潤滑剤か)
- 締付け順序、多本締めのフランジは対角に数回に分けて締める
- ゆるみ止めの方法、および再使用の可否