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機械要素読了時間 12 分

ねじはどこまで締めれば正しいのか

ボルトが壊れる最大の原因は強度不足ではなく、締付けが足りないことです。ゆるめば交番応力を受け、すぐ疲労破断します。

N·m

01トルクは軸力ではない

実務で使う関係式は T = K × F × d。T は締付けトルク(N·m)、F は軸力(N)、d はねじの呼び径(m)、K はトルク係数です。

トルクの行き先割合
座面の摩擦に消える約 50%
ねじ面の摩擦に消える約 40%
実際に軸力になる約 10%
つまり摩擦条件が変われば、軸力も大きく変わります。
表面状態K の範囲
未処理・乾燥0.20 ~ 0.30
電気亜鉛めっき0.18 ~ 0.24
ダクロ0.10 ~ 0.16
二硫化モリブデン潤滑0.10 ~ 0.15
一般の機械油0.15 ~ 0.20
同じボルトでも、油を塗るかどうかで軸力は倍ちがうことがあります。

02より正確な締付け方法

方法軸力のばらつきコスト向く対象
トルク法±25 ~ 35%低い一般用途
トルク+角度法±10 ~ 15%シリンダヘッド、重要締結部
降伏点制御法±5 ~ 10%高価値の締結部
伸び量計測±5%大径ボルト、フランジ
油圧引張法±5%非常に高い風車、圧力容器
角度法は低トルクで座面を密着させてから一定角度まわす方法で、摩擦のばらつきを回避できます。

03なぜゆるむのか

  • 横方向の振動。ユンカー試験が示すとおり、合わせ面が横にすべると、ボルトは数百サイクルでゆるみます。これが最大の要因です。
  • へたり(陥没)。表面の凹凸がつぶれて把持長さが短くなり、軸力が落ちます。表面が粗く、重ね枚数が多いほど大きくなります。
  • 応力緩和とクリープ。高温、あるいは樹脂やアルミのような材料が長時間の荷重で変形します。
  • 熱膨張差。異材の組合せでは膨張係数が違うため、温度サイクルで軸力が変動します。

04ゆるみ止めは実際どこまで効くか

手段原理横振動下での効果
ばね座金弾性による補償ほぼ効かない。多くの規格から外された
歯付き座金表面に食い込む限定的。表面を傷める
ナイロンナットプリベリングトルクを加える中程度。高温不可、再使用不可
ねじ用接着剤すきまを埋めて硬化する良好。等級により分解可否を選べる
くさび形ロック座金くさび角がねじのリード角より大きい非常に良い。幾何形状でロックする
軸力を上げる合わせ面をすべらせない最も本質的な対策
研究の結論は一致しています。まず軸力を出すこと。部品はあくまで保険です。

05図面に書くべきこと

  1. ボルトの寸法と強度区分(8.8、10.9、12.9、A2-70 など)
  2. 締付けトルクと許容差
  3. 表面状態と潤滑条件(乾燥/油付き/どの潤滑剤か)
  4. 締付け順序、多本締めのフランジは対角に数回に分けて締める
  5. ゆるみ止めの方法、および再使用の可否