工場の安全読了時間 12 分
ライトカーテンはどれだけ離せば安全か
安全装置は等級の高いものを選べばよいのではなく、リスクアセスメントから逆算して決まります。そしてその結論は文書に残せなければなりません。
01リスクアセスメントから始める
ISO 12100 は手順を定めています。機械の制限の明確化 → 危険源の同定 → リスクの見積り → リスクの低減 → 再評価を、残留リスクが許容できるまで繰り返します。低減には優先順位があり、飛ばすことはできません。
- 本質的安全設計。危険源そのものをなくす(機構を変える、エネルギーを下げる、すきまを広げる)。
- 安全防護と保護装置。固定ガード、インターロック扉、ライトカーテン、安全マット。
- 使用上の情報。警告表示、取扱説明書、教育訓練。
02PLr:どこまでの安全性能が要るか
ISO 13849-1 は 3 つの変数から要求パフォーマンスレベル(PLr、a〜e)を表引きします。
| 変数 | 選択肢 | 問うこと |
|---|---|---|
| S 傷害のひどさ | S1 軽傷 / S2 重傷または死亡 | 回復できるか |
| F さらされる頻度 | F1 まれ / F2 頻繁または長時間 | どれだけ危険区域に入るか |
| P 回避の可能性 | P1 可能 / P2 ほとんど不可能 | 気づいて逃げられるか |
実装では安全機能チェーン全体のカテゴリ、MTTFd、DCavg、CCF も見ます。高等級の部品を一つ入れてもチェーン全体が PL e にはなりません。決め手はアーキテクチャ(単一系か二重系か、診断があるか)です。
03安全距離は計算する
ISO 13855 の基本式は S = K × T + C です。
- S:危険区域から検出装置までの最小距離(mm)
- K:接近速度。手の動きは通常 2000 mm/s(S が 500 mm を超えれば 1600 も可)
- T:総停止時間=検出+制御+機械停止(秒)
- C:侵入の補正量。装置の分解能から求める
| カーテン分解能 d | C 値 | 検出できるもの |
|---|---|---|
| 14 mm 以下 | 0 | 指 |
| 14 ~ 30 mm | 8 × (d − 14) | 手 |
| 30 ~ 40 mm | 850 mm | 腕・胴体 |
| 40 mm 以上 | 850 mm | 人が通過したことのみ |
04よくある取付けの誤り
- カーテンの下や横から回り込める。補助カーテンか機械的な障壁を追加します。
- 反射面が光束を迂回させる。カーテン脇のステンレス板が光を反射し、間に立っている人を検出できないことがあります。反射面から十分離して設置します。
- 検出範囲の内側に立てる。入ってしまえば光束を遮らないので機械が再起動できます。安全マットを足すか、外側からしか復帰できない設計にします。
- 安全リレーが短絡される。現場が作業のために接点を短絡する、最も多く、最も重大な違反です。
05文書として残すもの
- リスクアセスメント表(危険源一覧、S/F/P、PLr、対策、残留リスク)
- 安全機能の一覧と、それぞれの PL 検証計算
- 安全距離の計算書と停止時間の実測記録
- 定期点検の記録(各装置の機能試験の頻度)
- 変更の記録、機械を改造したらリスクアセスメントはやり直す