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生産管理読了時間 11 分

シリアル単位のトレーサビリティは、問題が起きた日に効く

トレーサビリティの価値は平時にはありません。問題が起きた日に、回収が 300 個で済むか 3 万個になるかを分けます。

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01ロット番号かシリアル番号か

ロット単位個体シリアル単位
粒度1 ロット(数百〜数千個)1 個ごと
コスト低い高い(表示、読取り、データ量)
回収範囲ロット全体個体単位まで特定できる
向く対象締結部品、素材、消耗品自動車の安全部品、医療機器、航空宇宙
データ量小さい大きい。データベース設計が要る
IATF 16949 では安全部品に個体トレーサビリティを求め、それ以外はロット番号で足りるのが一般的です。

02バーコードの種類

種類次元容量特徴
Code 1281 次元約 48 文字汎用的で密度が高い
Code 391 次元低め旧来のシステム。自己チェック機能あり
EAN / UPC1 次元固定小売商品
QR Code2 次元数千文字誤り訂正が強く、スマートフォンでも読める
DataMatrix2 次元数千文字極小サイズでも読める。工業表示の第一選択
PDF417積層型証票、物流ラベル
工業のダイレクトマーキングはほぼ DataMatrix です。2×2 mm でも読み取れます。

03ダイレクトマーキングの品質

金属に刻んだコードと、ラベルに印刷したコードでは評価基準が違います。ISO/IEC 29158 は DPM の品質グレードを規定する専用の規格です。

指標見るところ
Cell Contrastセルと背景のコントラストが十分か
Cell Modulation各セルの明るさが揃っているか
Fixed Pattern Damageファインダパターン(L 字とクロックトラック)が欠けていないか
Axial Non-uniformityコードの縦横比が歪んでいないか
Grid Non-uniformity格子位置がずれていないか
Unused Error Correction誤り訂正の余裕がどれだけ残っているか
グレードは A〜F。客先は C 以上を求めることが多く、自動車では B が一般的です。

表示方法がグレードを左右します。レーザアニールは材料を削らず酸化変色でコントラストを作るので、ステンレスや防食が必要な面に向きます。ドットピンは安価ですがコントラストが弱い。レーザ彫刻はコントラストが最も良い一方で表面を壊し、刻痕が疲労の起点になり得ます。だから図面で打刻位置を制限することが多いのです。

04採番の決め方

  • シリアルに意味を詰め込まない。品番・日付・工場コードを埋め込むのは一見便利ですが、規則を変えた瞬間に過去の番号が読めなくなり、桁数も膨らみます。
  • シリアルは鍵に徹する。ほかの情報はデータベースに置きます。項目を増やしても、すでに表示済みの部品に影響しません。
  • 誤りを防ぐ設計にする。チェックディジット(Mod 43 など)を足せば手入力ミスを弾けます。
  • 業界の標準に従う。自動車は VDA 4902 や AIAG B-4 のラベル書式、医療機器は UDI、航空宇宙は ATA Spec 2000 が一般的です。

05データがつながっていること

完全な追跡経路は素材ロット → 製造指図 → 工程実績 → 検査結果 → 完成品シリアル → 出荷先です。どこか一段でも紙や表計算で手作業なら、回収のときに人が突き合わせることになり、その時間の代償は回収そのものより大きくなりがちです。

段階データの出どころよく切れるところ
素材受入検査、ミルシートミルシートが紙にしかない
製造指図ERP
工程現場の実績報告口頭の引継ぎ、後追い入力
検査検査表チェックだけで測定値を残していない
出荷納品書シリアルとひもづいていない
最も多く切れるのは検査です。判定だけで測定値がなければ、遡っても何も残っていません。