図面判読読了時間 10 分
図面を受け取って、最初の 5 秒はどこを見るか
投影法を読み違えれば、図面全体の左右が反転します。その情報は、表題欄のそばにある飾りのような小さな記号に隠れています。
01第一角法と第三角法
同じ物体でも、2 つの投影法では投影図の配置がちょうど逆になります。欧州・台湾・日本の多くの業界は第一角法、北米と一部のエレクトロニクス業界は第三角法を使います。
| 第一角法(E) | 第三角法(A) | |
|---|---|---|
| 右側面図の位置 | 正面図の左 | 正面図の右 |
| 平面図の位置 | 正面図の下 | 正面図の上 |
| 考え方 | 物体が観察者と投影面の間 | 投影面が観察者と物体の間 |
| 主な地域 | 欧州、台湾、日本、中国 | 北米、豪州 |
02表題欄に必要な項目
ISO 7200 が表題欄のデータ項目を定めています。書式は会社ごとに違いますが、次の項目は欠かせません。
| 項目 | 内容 | 欠けたときに起きること |
|---|---|---|
| 図番 | 一意の識別子 | 追跡もファイリングもできない |
| 版数 | A / B / 01 / 02 | 旧版で作ってしまう |
| 割合 | 1:1、1:2、2:1 | 実寸を読み違える |
| 単位 | mm か inch か | 図面全体が 25.4 倍ずれる |
| 投影法 | 第一角/第三角の記号 | 鏡像品ができる |
| 普通公差 | ISO 2768-mK など | 公差指示のない寸法を判定できない |
| 材種 | 材種記号と規格 | 手配も追跡もできない |
| 表面処理 | アルマイト、亜鉛めっき、黒染め | 寸法判定の基準が不明 |
| 設計/作図/検図 | サイン | 責任を追跡できない |
尺度の落とし穴
「1:2」は図面が実物の半分の大きさで描かれているという意味ですが、記入されている数値は常に実寸であって、紙を測った値ではありません。だから多くの図枠に「図面から寸法を読み取らないこと(DO NOT SCALE DRAWING)」と書かれています。部分拡大図がある場合は、その図の横に固有の尺度が併記されます。
03図面サイズと区域
| サイズ | 寸法 (mm) | 主な用途 |
|---|---|---|
| A0 | 841 × 1189 | 大型の組立図、レイアウト図 |
| A1 | 594 × 841 | 組立図 |
| A2 | 420 × 594 | サブアセンブリ |
| A3 | 297 × 420 | 部品図(いちばん多い) |
| A4 | 210 × 297 | 単純な部品、仕様書 |
図枠の周囲にある区域記号(上下は数字、左右は文字)は、文書の中で位置を指すためのものです。改訂履歴の「変更区域 C3」や、組立図の部品表の「品番 12 は B2」といった使い方をします。図面が大きいほど区域も増え、A3 はふつう 8 × 6 です。
04見慣れない図面を開いて最初の 5 秒
- 投影法。第一角か第三角か。
- 単位。mm か inch か。混在していないか。
- 普通公差。ISO 2768 のどの等級か。幾何公差の普通公差の指定はあるか。
- 版数と日付。これは最新版か。改訂履歴には何と書かれているか。
- 材種と表面処理。寸法は処理前か処理後か。
この 5 つはいずれも表題欄と図枠の周囲にあり、図形そのものにはありません。しかし図面全体の読み方を決めるのはこの 5 つです。まず確認し、それから寸法を見る。順番が逆だと、たいてい無駄な作業になります。