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加工方法読了時間 11 分

鋳造と鍛造、違うのはコストだけではない

同じ部品でも、鋳るか鍛えるかで強度は倍違うことがあり、コスト構造もまったく異なります。

Wikimedia Commons・Gas Metal Arc Welding (Mig).jpg・CC BY-SA 4.0

01成形の本質的な違い

鋳造鍛造
材料の状態溶かして型に流し込む固体のまま加圧して変形させる
メタルフロー方向性なし外形に沿って連続。強度が高い
内部欠陥引け巣、気孔、介在物折込み、割れ(少ない)
形状の自由度高い。中空や複雑な内部も可能低い。金型と材料流動に制約される
代表的な精度CT8 ~ CT12良いが、後加工は必要
最小肉厚砂型で 3〜5 mm鍛錬比に制約される
金型費砂型は安く、ダイカストは高い
鍛造品のメタルフローは外形に沿うため、繰返し応力を受ける部品はほぼ鍛造が選ばれます。

02鋳造:どの型を選ぶか

方法適する材料精度ロット特徴
砂型鋳造鉄、鋼、銅、アルミ低い1〜数千型は安いが表面は粗い
ロストワックス精密鋳造ほぼすべての合金高(CT5〜CT7)数百以上薄肉で複雑な形、表面がよい
ダイカストアルミ、亜鉛、マグネシウム数万サイクルが速いが、気孔のため熱処理不可
重力鋳造アルミ数百〜数千ダイカストより組織が緻密
低圧鋳造アルミ中高数千ホイールなどの構造部品
ダイカスト品は内部にガスを巻き込んでおり、加熱すると膨れます。だから一般に T6 処理はしません。

図面に出る鋳物の手がかり

  • 抜き勾配。ふつう 1°〜3° で、いちばん分かりやすい印です。
  • 隅 R。面の交わるところすべてに R を付け、引け巣と応力集中を避けます。
  • 均一な肉厚。厚みが急変するところに引け巣が出ます。
  • 取り代。鋳肌の輪郭と加工後の輪郭が二重線で描かれます。
  • パーティングラインと湯口・押湯の位置。残してはならない旨が別途注記されることが多い。

03鍛造:熱間・温間・冷間

手段温度精度向く対象
熱間鍛造再結晶温度以上低い。後加工が必要大型品、複雑形状
温間鍛造その中間折衷案
冷間鍛造常温高い。ニアネットシェイプねじ、締結部品、小物
冷間鍛造の加工硬化は強度を上げますが、変形量に限りがあり、中間焼なましが必要になることが多い。

鍛錬比(変形前後の断面積比)は鍛造品の品質を測る指標です。鋳造組織を十分に壊して結晶を微細化するには、一般に 3 以上が求められます。図面に鍛錬比やメタルフロー方向の要求があれば、それは強度部品です。

04欠陥と検査

欠陥多く見られる場所検査方法
引け巣・ミクロ引け鋳物の肉厚部X 線、超音波
気孔鋳造、ダイカストX 線、切断
介在物鋳造X 線、磁粉
折込み(ラップ)鍛造磁粉、浸透
鍛造割れ鍛造品の表層磁粉、浸透
脱炭層熱間鍛造の表層金相断面、硬さ分布
鋳物は主に X 線で内部を、鍛造品は主に磁粉と浸透で表面を見ます。