加工方法読了時間 11 分
3-2-1 の位置決め原則と、締めてはいけない 3 か所
加工精度の上限は、たいてい機械ではなく、ワークがどこに置かれ、どこを押さえられているかで決まります。
016 つの自由度
空間の剛体には 6 つの自由度があります。X・Y・Z 方向の並進 3 つと、各軸まわりの回転 3 つ。位置決めとは、この 6 つを 1 つずつ取り除く作業です。クランプはその状態を保つだけで、位置決めはしません。
023-2-1 原則
- 主基準面は 3 点。Z 方向の並進と、X・Y 軸まわりの回転を拘束し、自由度 3 つを取ります。3 点はできるだけ離し、囲む三角が大きいほど安定します。
- 第二基準面は 2 点。Y 方向の並進と Z 軸まわりの回転、自由度 2 つを拘束します。
- 第三基準面は 1 点。残る X 方向の並進を止めます。
3+2+1 で 6、ちょうど完全拘束です。支持点を 1 つ増やせば過拘束になります。4 点は完全でない平面に同時には当たらず、ワークは浮いてがたつき、置くたびに姿勢が変わります。剛性がどうしても必要なら、位置決めと固定を済ませてから当てる調整支持・フローティング支持を使います。
| 位置決め要素 | 拘束する自由度 | よくある形 |
|---|---|---|
| 平面 | 3(並進 1+回転 2) | 位置決めパッド、支持ピン |
| 長いピン(穴にはめる) | 4(並進 2+回転 2) | 円筒位置決めピン |
| 短いピン(穴にはめる) | 2(並進 2) | 短い円筒ピン |
| ダイヤピン | 1(ピン軸まわりの回転) | 面取りピン。過拘束を避ける |
| V ブロック | 2(並進 2) | 円筒ワーク |
03締めてはいけない 3 か所
- 宙に浮いた部分を押さえない。クランプ力は真下の支持で受け止める必要があります。さもないとワークは曲がり、緩めると戻り、加工面が変形します。
- 加工面を押さえない。これから切り落とす部分も同様です。
- 切削力でワークを基準面から引き離さない。道具の進行方向は、ワークを基準へ押し付けるようにとります。
クランプ力はどれくらいか
クランプ力は、切削力による滑りや倒れを上回りつつ、ワークが変形する力を下回らなければなりません。薄肉・アルミ・樹脂は上限が低いため、1 点の力を上げるのではなくクランプ点数を増やすか、真空チャックや磁気治具で力を分散させるのが定石です。
04基準は図面と一致させる
治具の位置決め基準は、図面のデータム A・B・C に対応させるべきです。別の面で位置決めすれば、加工寸法にはデータム変換の誤差が乗ります。この誤差は公差幅の半分以上を平気で食います。
| 状況 | 結果 | 対処 |
|---|---|---|
| 治具基準=図面基準 | データム変換誤差なし | 理想 |
| 治具基準≠図面基準 | 誤差が積み上がり公差を食う | 寸法連鎖を計算し直すか、治具を変える |
| 複数回の段取り | そのたびに位置決め誤差が入る | 関連寸法はできるだけ 1 回の段取りで仕上げる |