生産管理読了時間 12 分
稼働率 95% の機械でも、OEE は 50% かもしれない
OEE は製造業でもっとも引用され、もっとも計算を誤られる指標です。分母の取り方ひとつで数字が倍違うからです。
013 つの率の積
| 指標 | 計算 | 何を差し引くか |
|---|---|---|
| 時間稼働率 | 実運転時間 ÷ 負荷時間 | 故障、段取替、材料替、待ち |
| 性能稼働率 | (理論サイクル × 生産数)÷ 実運転時間 | 空転、チョコ停、速度低下 |
| 良品率 | 良品数 ÷ 総生産数 | 不良、手直し |
| OEE | 3 つの積 | — |
026 大ロス
| ロス | どの率に入るか | 典型的な原因 |
|---|---|---|
| 設備故障 | 時間稼働率 | 突発停止、修理待ち |
| 段取替と調整 | 時間稼働率 | 切替、初品の調整 |
| 空転とチョコ停 | 性能稼働率 | 詰まり、センサ誤動作。1 回数十秒 |
| 速度低下 | 性能稼働率 | 道具摩耗、あるいは不安から回転を落とす |
| 工程不良と手直し | 良品率 | 条件のドリフト、材料のばらつき |
| 立上りロス | 良品率 | 起動から安定するまでの廃却 |
03OEE から TEEP へ
- OEE は負荷時間を分母にして、「組んだシフトの時間を使い切れたか」を問います。
- OOE は操業時間(計画停止を含む)を分母にします。
- TEEP は暦時間(24 × 365)を分母にして、「この設備の能力をどれだけ使えているか」を問う投資判断の指標です。
3 つは別の問いに答えます。OEE は現場管理を、TEEP は次の 1 台を買うべきかを問います。多品種少量の工場は段取替が多いぶん OEE がもともと低く、量産ラインと比べても意味がありません。
04改善の手順:いちばん低い率から
- 時間稼働率が低い → まず段取替時間です。SMED は段取作業を、機械を止めないとできない内段取と、動かしたまま準備できる外段取に分けます。内を外へ移すだけで、段取時間は半分以下になることが珍しくありません。
- 性能稼働率が低い → まずチョコ停を測ります。多くの工場は 3 分未満の停止を記録しておらず、まず見えるようにすることが先です。
- 良品率が低い → 工程能力(Cpk)と測定システム(GR&R)に戻り、工程が本当に不安定なのか、測定が誤判定しているのかを切り分けます。
05データはどこから来るか
3 つの率には 3 種類のデータが要ります。設備の稼働・停止状態、実際の生産数と理論サイクル、そして良品数と不良数です。
- 状態は設備の I/O、電流センサ、CNC の通信から取ります。手書きの記録よりはるかに正確です。
- 生産数はカウンタ、センサ、実績報告から。
- 良品数は検査記録から。そしてその判定基準は図面から来ます。
最後の環がよく切れています。検査表が図面から手で書き写されていれば、写し間違えた公差が不良率を歪め、OEE の良品率もそのぶん歪みます。