加工方法読了時間 12 分
レーザーで切れるもの、切れないもの
レーザーは万能道具ではありません。ある材料を加工できるかどうかを最初に決めるのは出力ではなく、その材料がその波長を吸収するかどうかです。
Wikimedia Commons・Laserkop van Amada FO-4020NT 4kW・CC001主流の 3 種類
| 種類 | 波長 | 得意 | 不得意 |
|---|---|---|---|
| ファイバー | 約 1.06 μm | 金属:炭素鋼、ステンレス、アルミ、銅、真鍮 | 多くの樹脂、木材、ガラス |
| CO₂ | 10.6 μm | 非金属:アクリル、木材、革、布、紙 | 高反射の金属 |
| UV | 355 nm | 冷加工:フィルム、ガラス、セラミック、微細樹脂 | 厚物の切断 |
金属は 10.6 μm より 1 μm 帯のほうがはるかによく吸収するため、金属の切断にはファイバーを使い、アクリルや木材はその逆になります。銅と真鍮はファイバーに対しても反射率が高く、初期のファイバー機では反射光が共振器に戻る危険がありました。いまは多くの機種にアイソレータが入って、ようやく銅を扱えるようになっています。
02切断品質の見方
- カーフ幅。ネスティング間隔と仕上がり寸法に影響し、プログラムで補正が必要です。
- テーパ。厚板では上下でカーフが違い、公差に織り込む必要があります。
- ドロス。下縁に残る溶融物で、後処理が要ります。
- ストリエーション。切断面の縞模様で、速度とガス圧が合っているかを表します。
- 熱影響部。組織が変化した領域で、その後の曲げや溶接に影響します。
| アシストガス | はたらき | 向く対象 | 切断面 |
|---|---|---|---|
| 酸素 | 発熱酸化で燃焼を助ける | 炭素鋼の中厚板 | 酸化層あり。溶接前に除去が必要 |
| 窒素 | 溶融物を吹き飛ばし酸化を遮断 | ステンレス、アルミ | 酸化なし。そのまま溶接可 |
| エア | もっとも安価 | 薄板、要求の低い部品 | わずかに酸化 |
03レーザーマーキング:可読性こそが仕様
マーキングの目的は「印が付くこと」ではなく、あとで読めることです。とくに DataMatrix や QR でトレースする場合はそうです。ISO/IEC 29158(DPM 品質ガイドライン)は一連の指標で評価します。
| 指標 | 見るところ |
|---|---|
| Cell Contrast | セルと背景のコントラスト |
| Cell Modulation | 各セルの明るさが揃っているか |
| Fixed Pattern Damage | 位置検出パターンが欠けていないか |
| Axial Non-uniformity | コードの縦横比が歪んでいないか |
| Grid Non-uniformity | 格子位置がずれていないか |
材料ごとのマーキング機構
- アニール。加熱で表面を酸化変色させ、材料は除去しません。ステンレスやチタンに向き、表面の平滑さと耐食性を保てるため医療機器でよく使われます。
- 彫刻。材料を溶かして気化させ、溝を作ります。コントラストは高いが表面は損なわれます。
- 発泡。樹脂が熱で気泡を生じ、明るい色の印になります。
- 炭化。有機材料が熱で炭化して濃い色になります。木材や革に向きます。
04図面上のレーザー関連の指示
レーザー加工品の図面には、見落としやすく工程に直結する指示がいくつかあります。
- 板厚と材種が機種・出力・ガスを決めます。
- 最小内 R。レーザー切断の内角には最小半径(おおむねカーフ幅)があり、図面に尖った角が描かれていても実際には作れません。
- 穴径と板厚の比。一般に穴径は板厚以上が必要で、それ未満だときれいに抜けません。
- 切断面の粗さやドロスの要求。図面に Ra 値があれば二次加工が要ることもあります。
- 刻印の内容・文字高さ・位置。連番の規則やバーコードの要否を含みます。